菅沼 達夫 (H.14年ブラジル・ポルトガル語学科卒)
アビームコンサルティング株式会社、製造・流通事業部にご勤務のシニアコンサルタント
平成14年ブラジルポルトガル学科卒業 菅沼達夫さんをご紹介します。
2002年京都外大を卒業後、大手機械メーカーの海外事業部に入社。約4年間に亘るスペイン駐在を経て、2007年より現職。自動車製造・部品メーカーや情報通信機器メーカーをはじめとした製造業・流通業のクライアント向けの経営戦略立案・展開支援、ビジネス変革支援、IT戦略立案等をグローバルレベルで手がけていらっしゃいます。
学生の頃の思い出
外大を卒業して早くも8年が過ぎ去ろうとしています。改めて振り返ってみると、時間が過ぎるのがとてつもなく早いような気がするのと同時に、学生の頃の思い出は、まるで昨日の出来事のようにも感じます。学生の頃の様々な思い出が錯綜とする中で、とりわけ記憶に残っているのは、2年生の頃から始めた通訳のアルバイトでした。
外大の大多数の入学志願者が持っている“語学力を活かせるような仕事をしたい”と、私も強く思っていました。語学をビジネスに活かすにはどうすれば良いのかというところを自問自答していると、出来るだけ早く語学を使った仕事をしているという実績を作ることが近道のように当時の私は考えました。
そして、通訳・翻訳関連の書籍を一冊購入しました。その書籍の通訳・翻訳の関連企業の一覧表が記載されており、不躾にも私は片っぱしからそれらの企業宛てに手書きで「ポルトガル語・スペイン語の通訳・翻訳が出来ますので、アルバイトとして雇って下さい」という内容の手紙を書きました。
また、企業だけでなく、日系人が多い地域の警察・裁判所・市役所等にも同様の手紙を送りつけました。
何日か待っていると、いくつかの企業から面談の日程調整依頼が届きました。そして、面談の結果、いくつかの企業から【採用】の連絡をもらいました。とはいっても、通訳や翻訳の仕事がそうそう届くものではありません。最初は、一つのフレーズを翻訳することから始まり、少しずつ当会社との信頼関係を築いていく中で、徐々に責任の大きい仕事を与えてもらいました。大学4年生になる頃には、各種企業の資料の翻訳や会議通訳などの仕事を頂くことが出来ました。
また、京都・滋賀・岐阜県警や裁判所からも通訳の依頼を頂きました。内容は中南米から来た日系人犯罪者の取り調べ捜査のサポートでした。取調作業の中で、取調官は様々な手法で犯人と思われる人にアプローチを取り、真実を聞き出そうとします。例えば、「お金に困っていたから盗んだのね。。。」と、同情するような場面もあれば、「犯人はおまえだろ!?」と凄みを利かせる場面もありました。そのようなやり取りをしている傍らで、通訳の私が笑顔でいるわけにはいきません。どのような場面であっても常に取調官と呼吸を合わせることが必要でした。
その経験があって、今の若者用語の“KY”にならずに済んだように思いますし、滅多に出来ない貴重な体験をしたと思います。「学生のアルバイト」という立場を理解した上で採用頂き、仕事を与えて下さった企業・警察・裁判所等には、本当に育てられたという思いがあり、今でも感謝して已まない気持ちでおります。